正式にはペイントレスデントリペアと言います。読んで字のごとく塗装しないでヘコミを修復する工法です。

略してデントリペアと言います。外国ではペイントレスデントリムーバルと呼ぶ方が多いそうです。

ヨーロッパで考案され雹害の多い北米等で発展した雹被害車を修理するのに適した技術です。

どの技術職でも同じですが、技術者によって仕上がりが大きく差が出ます。

当店は日本デントスクール(JDS)を卒業し、ラインボードを使った誰が見ても分かる仕上がりを見える化しています。 

近年は日本でも雹害が増えていますが、雹害の場合少なくても200箇所からのヘコミが発生します。雹害での鈑金塗装修理の場合まずルーフ、ボンネット、トランク取替、左右側面鈑金塗装となります。ルーフは溶接してあるので溶接を外して新品パネルを溶接して取替します。溶接パネルを交換すると事故車扱いとなり車両評価額がかなり落ちます。どのパネルも交換しなくても補修塗装すれば事故歴はつきませんが補修歴はつきます。

東日本では毎年のようにどこかの地域で雹害が発生し大きな被害を出しています。西日本ではまだ雹害は少ないですが0ではありません。雹害は自然災害ですので車両保険に入っていれば保険を使えます。車対車限定の保険でも使えますので入っておいた方が良いでしょう。

[デントリペアのメリット]

1. オリジナル塗膜の維持

・補修塗装をせずにへこみを直す方法は、車のオリジナルの塗膜をそのまま生かすことができます。

2. 塗装によるデメリットの回避

・塗装を行わないため、ゴミ、ブツ、垂れ、色の違い、肌の違いなどの問題が発生しません。

3. 作業の迅速化

・鈑金塗装に比べて作業工程が少なく、乾燥時間が不要なため、作業が迅速に完了します。

4. 費用の節約

・部品交換や塗装をしないため、鈑金塗装に比べて料金が安くなります。

ドアパンチによるへこみ

・実際にドアパンチでへこみを作り、その例を示します。

軽く当たっただけでこの様に大きくへこみます。

ラインボードで見ると良く分かります

駐車場などで勢いよくドアを開け隣の車に当たりへこんでしまうへこみ方ですが、大きさやキツさ場所にもよりますが直せる場合が多いです。

ドアハンドルの下のプレスライン上に5cmのドアパンチへこみがあります。

ラインボードを使って見ると良く分かります。線の歪んでいるのがヘコミです。

完成しましたが景色やライトの陰影だけでは普通の方にはよく分かりません

ラインボードを映すと線が真っすぐになっているのが確認できます。

デントリペアでラインの歪みもなく修復出来ました。

例えばドアに3センチのへこみだと多く見ても2時間くらいで修復出来ます。塗装しないので新車からのオリジナルの塗装を生かせるので綺麗に早く安く完成しますので是非知って頂きたい工法です。

その他知らない間に出来たヘコミ、何かが倒れてきてへこんだ、ボールが当たりへこんだ、自転車のハンドルが当たってへこんだ等、当店ではラインボードを使ってヘコミの形、大きさ、深さ、数をお客様と一緒に確認し料金を見積もりします。

[デントリペアのデメリット]

1.塗装傷の修復方法

・塗装に傷がある場合、その傷を直すのは難しいです。代わりに、ヘコミだけを修復し、傷部分に同じ色の塗料を筆で塗ることで、傷を目立たなくすることができます。

2.ドアパネルの端部分の難しさ

・ドアパネルなどの端部分、またはヘミング部分は、表面と裏面のパネルを折り曲げて合わせているため、裏からツールを使って修復するのは難しいです。また、表面からもアクセスが制限されており、修復が難しい箇所です。

3.鉄板の塑性変形の難しさ

・鉄板が限界を超えて折れたり塑性変形した場合、オリジナルの状態に戻すことは難しいです。ラインボードを使用した修復が基準ですが、限界を超えた変形は難しい場合があります。

4.深いへこみとメタリック塗料の特殊性

・塗装に深いへこみがある場合、特にシルバーなどのメタリック塗料を使用した場合、へこみの部分でメタリック粒子がクリアコートの下で動いてしまい、色の見た目や反射が異なるように見えることがあります。これは修復が難しい特殊な状況です。

これらの要点を考慮して、車のボディ修理や塗装の際に注意が必要です。

注意事項として

※工具が届かない下の箇所、プレスライン上のへこみの裏がフレームやビーム等の中にある場合、内張やドア、ボンネット等脱着しないと出来ない場合等は別途料金が掛かる場合があります。

いずれも作業前に判断、内張等脱着してみての判断になります。

事前に調べて脱着しなくても把握出来る場合もありますので、お問い合わせください。電話やメールでお問い合わせの場合、車検証を用意して頂いた方が確実になります。

フェンダーのプレスラインに5cmのヘコミです。

映したラインが真っすぐになっているのが分かると思います。ラインが広がっていると凹んでいる、細く見えると凸ている事になります。

ヘコミの大きさはラインボードで見てラインの歪んでいる端から端を計測した大きさを言います。上のフェンダーの画像でなら

デントリペア料金表はこちら

[鈑金塗装とは]


ラインボードの線の歪みの端から端を見て判断します

鈑金塗装はまず事前に作業の邪魔になる部品を外します、塗装時に邪魔になるパーツまで外す場合もあります。
①へこんだ個所の塗装を剥いで鉄板を出して鈑金し、
②パテを付けて強制乾燥させ研いで平滑になる様に研ぎ、これを何度か繰り返し、
③サフェーサーと言う下地剤を塗装、強制乾燥し
④巣穴やペーパー目等を埋めるパテを付けて乾燥、さらに平滑になるよう研ぎ、
⑤塗装する範囲のパネルを足付けし塗料が掛かってはいけない所を
⑥マスキングして、
⑦塗装し強制乾燥させ
⑧ホコリやブツを除去して
⑨磨いて
⑩組み付けして完成します。

物凄く工程を省いた説明ですがこれだけの工程があります。

ヘコミを鈑金塗装で直します。いきなり塗膜を捲らずデントリペアで粗だしをすることによって余計な熱を入れずに小範囲で鈑金が短時間で済みます

①なるべくパテが少なく済むようにするのが後の仕上がりや耐久性に影響します。これで約1時間で鈑金完了です。

⑥マスキングして⑦塗装します

磨いて部品を組み付けて完成です

このように多くの工程があり、その都度乾燥時間や調色時間、塗装ブースを使うには掃除だったりマスキング作業であったりと直接鈑金塗装作業ではない色々な作業時間が掛かりますので何日も掛かるし高額にもなってきます。

鈑金塗装屋さんにご提案

鈑金塗装屋さんあるあるですが、マスキングしていざ塗装する段階になってぼかし塗装パネル内に小さいヘコミを見つけてしまったけどいまさら鈑金したりパテ付けたくない時、御用命くださいすぐにリペアします。                                                          自動車のパネル鋼板は薄く硬いので鈑金する為に熱を入れても叩きすぎても伸びてしまい収拾がつかなくなるので極力熱や手を入れたくないですよね、デントリペアで粗だしすると鈑金範囲を小さく出来ると思いますのでどうぞご利用ください。

一例ですが

フィットのバックドア鈑金です。

ナンバープレート下付近の折れと、下の逆アール、ヘミング部、ドア裏まで損傷有です

ラインボードで見ると良く分かります。

30分デントリペアで粗だししました。

30分鈑金しました。中間パテ1回でサフェーサーです。全て鈑金するより範囲は狭く早く出来ます。こういう使い方も出来ますのでご相談ください。

もう一例

バックドアが大きくへこんでいます
ラインボードで見ると歪みの大きさ深さが良く分かります
とにかく安くでと言う要望でクイックリペアで直しました
ラインボードで確認すると下のプレスラインより下の範囲だけ歪みが残っています
鈑金するならこの範囲だけと言う事になります。
最初の大きなへこみを全部鈑金でやると時間も範囲も大きく掛かりますが
クイックリペアで30分プレスライン下ならサンダー掛けてポリパテ1回で済むでしょう。時短とコストカットになります。